広域科学専攻

ホーム > 専攻長メッセージ

専攻長挨拶

専攻長 瀬川 浩司

瀬川 浩司

「広域科学専攻」で未来の可能性を広げよう!

東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻は、東京大学の数ある理系大学院専攻の中でも、最も広い分野をカバーする大学院専攻です。ここでは、物理学、化学、生物学の主要三分野の基礎科学や最先端科学に加え、宇宙科学、地球科学、情報科学、心理学、認知科学、科学哲学、科学技術政策学、人文地理学、スポーツ科学など、広範囲に及ぶ先端研究が一つの専攻で行われています。これからの社会で活躍が期待される理系人材には、「深い専門知識だけでなく、俯瞰的に社会全体を考えることができる幅広い視野を身につけること」が求められていますが、広域科学専攻ではこうした点を意識しながら研究教育体制を整えており、高度な専門性のみならず様々な先端分野を広く横断する学際的知識と先見性を備えた課題発見・解決型の人材の養成を目指しています。

所属する教員(169名)と大学院生(2021年5月時点507名(博士課程222名,修士課程285名,うち留学生89名))は、専攻内の3系(生命環境科学系,広域システム科学系,相関基礎科学系)に分かれ、各系で特色ある専門のカリキュラムを学びながら多くの時間を研究にあてます。生命環境科学系は、生命に関して分子からヒトまでを対象とし、細胞生物学,生化学,分子生物学,生物物理学,スポーツ科学,心理学,教育学などの研究が行われています。広域システム科学系では,自然界や人間社会における様々な事象の解析や問題の解決に対し、システム的な思考を駆使して取り組んでおり、情報,社会,宇宙,地球,生態,環境,エネルギーなどの様々なシステムを対象としています。相関基礎科学系は,素粒子,原子・分子,分子集合体,巨視的な物質,生命体,科学哲学といった自然界の様々な階層を対象にしています。このように広域科学専攻で行われている教育・研究分野はきわめて多岐にわたっており,各教員の研究内容を眺めれば,その多様性を知ることができるでしょう。

一方、専門以外でも興味を持った分野があれば、系を超えて自由に最先端の講義を受講することができます。例えば、情報系を専門とする学生さんでも、宇宙や心理・認知などの講義を受講することができますし、材料化学や生態学を専門とする学生さんが、気候変動やカーボンニュートラルなど社会が直面する重要課題について学ぶことができます。このような自由度の高さは、東京大学広しと言えども広域科学専攻以外にはありません。修士論文発表会は各系毎に分かれて行いますが、博士課程1年次には広域科学専攻の3系の大学院生が一堂に会して異なる分野の大学院生に自身の研究をわかり易く紹介する「卓越コロキウム」という企画もあります。また,副専攻プログラムとして、科学と社会を繋ぐ技術を身につける「科学技術インタープリター養成プログラム」が用意されています。さらに広域科学専攻には、英語のみで学位取得が可能な大学院として「国際環境学プログラム」も併設されており、こちらの講義も受講可能です。

大学院生に対するサポートは専攻全体(3系共通)で行われていて、入学決定後にさらに資格審査に合格すると先端基礎科学推進国際卓越大学院に採用され給与が支給される制度があります。また、リサーチ・アシスタント制度や博士課程学生支援オンキャンパスジョブ制度などもあります。さらに、海外での学会発表参加を支援するための経費補助事業として「博士・修士課程学生のための国際研究集会渡航助成」を行っています。日本学生支援機構大学院第一種奨学生として採用された学生には、成績優秀者に対し返還免除を受けることができる制度もあります。

広域科学専攻は、総合文化研究科の専攻の一つとして1985年に発足し、その後の大学院重点化による改組・拡充を経て、1995年に3系からなる現在の体制が完成しました。広域科学専攻には,それぞれの系で実施される試験を経て入学することになりますが、異なる分野からの受験も可能になるように配慮されていますので、新しい分野への挑戦を考えられている意欲的な学生さんの受験も歓迎します。広域科学専攻に所属する教員は,それぞれの分野において世界でトップクラスの研究を推進しており,大きな成果をあげています。また,教員の教育に対する熱意も高く,大学院生は教員からきめ細やかな研究指導を受けることができます。広域科学専攻の優れた研究・教育環境のもとで,是非,皆さんも次の世界をリードする研究者を目指してみませんか。